千葉大学管弦楽団2011年度卒団演奏会


曲紹介

ヴァイオリン -Violin-


演奏曲: メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲ホ短調

 メンデルスゾーンは1838年、ライプツィヒ・ケヴァントハウス管弦楽団の常任指揮者であった頃、そのコンサートマスターで友人のフェルディナンド・ダヴィッドに送った手紙で、翌年の冬までにはホ短調の協奏曲を贈る、と記しました。しかし、実際に翌年には完成せず、演奏上の技術的な助言をダヴィッドから得ながら作曲を進め、結局完成したのは最初の手紙から6年後の1844年9月16日、メンデルスゾーン35歳のときでした。
※ちなみにダヴィッドは、今回の卒演でトロンボーンパートの岩井さんが演奏するトロンボーン協奏曲を作曲した人です!世界は狭い。

 現在この曲は、ベートーヴェンの作品61、ブラームスの作品77と並んで三大ヴァイオリン協奏曲(またはチャイコフスキーの作品35を加えて四大ヴァイオリン協奏曲)と称されています。穏やかな情緒とバランスのとれた形式、そして何より美しい旋律で、ドイツ・ロマン派音楽を代表する名作であり、メンデルスゾーンのコンチェルト、略して『メンコン』の愛称で親しまれています。

 作品は以下の三つの楽章からなっていますが、途切れなく演奏するよう指示されています。これは、作品の持つ流動感や漸進性を断ち切らないための配慮であると考えられています。また、演奏者の自由に任せられることの多いカデンツァが作曲者自身によってすべて書かれているのも、この時代としては大変珍しいことでした。

第1楽章 Allegro molto
第2楽章 Andante
第3楽章 Allegretto non troppo ~ Allegro molto

 私がこの曲にとりつかれたのは2年前、某先輩が卒演で弾く際にオケバックで乗せていただいたのがきっかけです。理由なんて言葉にできないくらい、とにかくこの曲が大好きです!4年間、本業であるはずの学業をそっちのけにしてヴァイオリンを愛してきました!(笑)
 どんなときも温かく見守ってくれた家族、友人、4年間切磋琢磨しながら一緒に過ごしてきた仲間たちに感謝の気持ちを込めて、この曲を演奏します!


ヴィオラ -Viola-


演奏曲: バルトーク ヴィオラ協奏曲 第2,3楽章

 バルトークはハンガリーの音楽史上最大の作曲家であり、またショスタコーヴィチと並ぶ20世紀の代表的な作曲家と言えるでしょう。彼が人生の最後に作曲した曲がこのヴィオラ協奏曲であり、名ヴィオラ奏者であるウィリアム・プリムローズによって依頼された作品です。

 ヴィオラは長い間オーケストラの中で弾く為だけの楽器と認識されていたため、残念ながらベートーベン以降のロマン派に協奏曲がほぼ存在しません。もっとチャイコフスキーとかドヴォルザークが書いてくれてたら良かったのに…(ボソ)

 しかし、やがてヴィオラ独特の深みある音が見直されるようになり、多くの作曲家がヴィオラ協奏曲を残しています。中でも代表的なものがウォルトン、ヒンデミット、そしてこのバルトークのヴィオラ協奏曲であり、三大ヴィオラ協奏曲とも呼ばれているようです。

 自分がこの曲と出会ったのは千葉大オケに入って一年目の秋ごろでした。当時4年生だった先輩が卒演で弾くというので気になっていたのですが、偶然その曲をN饗アワーで聴いて衝撃を受けました。いま思えば、ヴィオラ協奏曲がテレビで取り上げられることなど滅多にありません(少なくともそれ以降見てはいない)。楽器を始めてから直ぐにこの曲と出会えたことは運命的なものだったのかもしれません(笑)

 その後なんとなく自分も卒演で弾きたいなぁーなどと思っていたのですが、まさか本当に弾くことになるとは思いませんでした。とても大変な曲ですが、4年間のオケ生活の終着点ということでなんとしても弾ききりたいと思っています。乗り番の皆さんご迷惑お掛けしますがよろしくお願いいたします!

チェロ -Cello-

コントラバス -Contrabass-


演奏曲: ディッタースドルフ コントラバス協奏曲第2番ホ長調

 大学からコントラバスを初めて1ヶ月近く経った時、Youtubeで何気なく「コントラバス」と調べて初めて聴いた協奏曲がディッタースドルフの第2番でした。へぇこんなのあるんだ〜とコントラバスについて何も知らなかったので低音ばっかの曲なんだろうなぁと思い聴いてみると、フラジオを使って演奏する場面に度肝を抜かれました。こんなん演奏できんだとコントラバスの魅力を見せつけられました。親指ポジションもここで初めて知りました。コントラバスは低音だけという先入観を見事覆され、コントラバスでメロディーを弾けるなんて夢のようだと思いました。

 この曲との出会いはこんなところでおいといて・・・。

 この曲は、コントラバス奏者なら誰しもが知っているといっても過言ではない曲です。しかし、一般からしてみれば知名度が低いことは否めません。なぜ有名なのかというと、コントラバス奏者の課題曲によく使われるからです。作風は、ウィーン古典派の名にふさわしい貴族的な優雅さを持っており、独奏コントラバスの技巧も華やかなものといえます。

第1楽章 Allgro Moderato
第2楽章 Adagio
第3楽章 Allegro

 の3部構成で、今回の卒演では、1楽章と3楽章を演奏させていただきます。(最初は1楽章だけだったけど、調子乗りました!)
 とても難しい曲です。コントラバスは協奏曲には向いていない楽器であるため、協奏曲がとても少ないです。それでも、先生や先輩に教わったことを最大限生かして、自分にしか出せない音をみなさんに聴いていただきたいです。あと、少しでも旋律に適し、本来より小さめに作られた楽器の大きさに適した高めの音を得るため、弦を全体に全音高く調弦ソロチューニングを用いるので、一風変わったコントラバスの音色を楽しんでください。(開放のG線→A、D線→E、A線→H、E線→Fis)

 長くなりましたが、オケバックのみなさん、指揮者、よろしくお願いします!
 そして、今までこんな自分を支えてくれたみんな、ありがとう!

フルート -Flute-


演奏曲: モーツァルト フルート協奏曲第2番

 モーツァルト22歳の1778年2 月、マンハイムで就活中にネーデルランドの医師でフルート愛好家のフェルディナン・ドジャンという人物から「やさしくて短いフルート協奏曲3 曲とフルート四重奏曲2 曲」の注文を受けた。しかし思うように筆が進まず結局完成したのは協奏曲2 曲と四重奏曲3 曲のみ、しかも協奏曲のうちの1曲(第2 番)は、前年に作曲されたオーボエ協奏曲をフルート用に長2 度高く書き改めたものであった。このニ長調のフルート協奏曲とハ長調のオーボエ協奏曲はK.314という同じケッヘル番号を与えられているが、ソロのアーティキュレーションや音低等がそれぞれの楽器特性に合わせて少し異なっている。長くどちらが先に作られたのかが研究者たちの論争を巻き起こしていたが、音域上の手がかりに加え、20世紀に発見された筆写譜やスケッチの綿密な検証により、オーボエ版の方が原曲であることが近年確証された。

 上記のように思うように筆が進まなかった理由は、当時まだ穴を直接指で塞ぐ旧式のシステムで音程が定まりにくかったフルートをモーツァルトが嫌っていたため、また当時アロイジア(後の妻となるコンスタンツェの姉)というソプラノ歌手に恋をしていたためだと考えられている。そのため曲想は自然と晴れやかで光り輝くように美しく、非常に機嫌の良いものとなっている。モーツァルトが書いた2 曲のフルート協奏曲は現れて以来名曲の誉れ高く人気の曲であり続け、全てのフルート協奏曲の中で最も演奏機会が多く、試験やオーディションにも頻出であるためフルート奏者必須のレパートリーである。また同時に作られた双子のような関係の為CD 等には大概一緒に入っているが、2 番の方が一般的な人気が高く、オーボエ版の移調であることを感じさせない様なフルートの軽やかな魅力を充分に引き出すに余りある曲である。また元々宮廷奏者に捧げられた曲ゆえに、当時の優美で繊細なロココの精神、ドイツ的な感性を存分に映し出すサロン音楽の傑作である。

第1楽章:Allegro aperto ニ長調 4 分の4 拍子
 「aperto( 明るく、開放的に)」の指示通り、オペラの幕開けのような雰囲気で始まり、フルートが駆け上 がりながら颯爽と登場するシーンが印象的な快活で親しみやすい音楽。
第2楽章:Andante ma non troppo ト長調 4 分の3 拍子
 幸福感あふれる旋律がのびやかに歌い上げられる。
第3楽章:Allegro ニ長調 4 分の2 拍子
 屈託の無い朗らかさが魅力的で、休み無く繰り出される息の長いパッセージではソリストの技巧が光る。

 と真面目に書きましたが何でこの曲を選んだかというと純粋に好きだからです。モーツァルトは本当に音楽をやる喜びに満ち溢れています。聴いて頂く方にもそれが伝わる様に演奏します。13年間のオケ生活を支えて頂いた全ての皆様、ありがとうございました。


クラリネット -Clarinet-

オーボエ -Oboe-

ファゴット -Bassoon-

トロンボーン -Trombone-


演奏曲: グロンダール トロンボーン協奏曲

 ラウニー・グロンダール(1886-1960 )は、デンマークの作曲家、指揮者です。彼はデンマークの国立放送交響楽団の首席指揮者として活躍し、カール・ニールセン(1865-1931)などの自国の作曲家の国際的な知名度を広めることに貢献したといわれています。彼が指揮をしたニールセン作品の録音は今でも手に入れることができ、彼の指揮者としての業績を知ることができます。

 彼のトロンボーン協奏曲は、コペンハーゲンの王立管弦楽団のトロンボーン奏者であったヴィルヘルム・オークローのために作曲されました。また、同じデンマークのトロンボーン奏者であるポール・イワン・モーラーによる吹奏楽編曲版が、この曲の演奏機会を格段に広げたということができるでしょう。現在は、オーケストラ版、吹奏楽版ともにトロンボーン協奏曲の主要レパートリーとなっています。

 大好きなこの曲を大学オケ生活の最後に演奏できることは本当に幸せです。今日はお世話になった人たちに感謝の思いが届くよう、精いっぱい演奏します。

パーカッション -Percussion-


 
  
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